語彙・ボキャブラリー(6)

基本単語を多面的に習得する必要があることを前のページで説明しました。ではどうしたらいいかという例に少し触れてみたいと思います。

  • 思いっきり何回もそれらの単語に触れるようにするというのがキーです。私は多読が一番だと未だに思っています。
  • 辞書は最初のうちは引きまくってかまわないでしょう。ただ一文一文精読するのではなく、70%の文脈が理解できたら前に進みます。いちいち単語を覚えようとしていたらきりがありません。むしろその単語のことは忘れるつもりで文脈に集中します。そしてどんどん読みます。題材はそれほど難しい物でなければ何でも良いでしょう。
  • では、どのくらい辞書を引けばいいの?というのが始めた頃のよくある質問です。自分の好きなようにやってくださいというのが私の答えです。もともとクリアーな線が引ける質問では無いのです。自分で毎日毎日読んでいるうちにだんだん落ち着くところがあるはずです。
  • その作業を通じて基本単語は至る所に幾度となく出てきます。数年この作業をしていればイヤでも頭に少しずつ入ってきます。力仕事で覚えていった語彙ではないので定着しやすいのも事実です。
  • では、どんな物をよめばいいの?というのが次に多い質問です。まずそんな質問をする前に自分でいろいろ読んでみることです。そしたらなんとなくこの辺りなら読めるな、というレベルの物があるはずです。一文内で何回も辞書を引かなければいけないレベルの物で長続きはしません。逆に一ページ一回も引かないで良いような読み物では簡単すぎますよね。やってみれば分かります。
  • そうした多読をする際にやらなければ損なのが英英辞書の使用です。ロングマン現代英英辞典のような学習者を対象とした、かつ良質の辞書です。
  • このような辞書は、都合の良いことに大体2500から3500程度の語彙で単語の意味の説明がしてあります。まさに私のいう基本単語を使用して物事を説明してあるわけです。多読で出くわした単語が、習得したいと思っている基本単語で解説してある。こんな好都合なことはありません。そして単語の説明の仕方に何度となく触れていくうちにそれがoutputの際の技量にも大いに役に立ちます。(私感ですが、コウビルドのような少しトリッキーな定義の仕方は素直なoutput技量の蓄積という意味では余りお勧めしません)
  • 最初はdefinitionの部分を見てもピンとこないことが多いはずです。ただ意外にこれはすぐに慣れてきます。半年も使用していけばかなり普通に使えるようになってきます。一年もしたらものすごく快適になってきます。すなわち解説に使われている基本単語の理解がグッと深まってきているからです。そしてこうして身につけた単語はoutputにも使えるレベルに一歩近づいていきます。
  • ちなみに上述のロングマン現代英英辞典4訂新版に付属のソフトは前回の物から大幅な改良となっていてPC上で音声も含めた多機能な使用ができるのでとてもお買い得な一冊です。というか、超割安だと言えます。TOEIC450点くらいでは未知の単語を発音記号だけで正しく音がイメージできない人も多いでしょうから、発音してくれる機能はひとつの助けにもなります。
  • 以上、まずreadingという局面から眺めてみました。今度は他の見地からも考えてみましょう。